勘違いしてしまいがちな滑舌の事。

滑舌に関して、比較的誤解が多い事を書いていきます。

 

まず、私の場合、職業柄なるべく滑舌に関しては外部の方の突っ込みが無いように日々鍛錬をしています。
それには、一つ理由があります。第一に私の所にいらっしゃる生徒様と言うのが、本来は「そこまで滑舌に違和感がない」というか、むしろ「ちゃんとできているのではないですか?」
と言われるレベルの方であることが少なくないという点です
その方たちは、完璧な滑舌を求められてきます。ただ、それが間違っているというのは無くて、実はとても正しい事ではあります。紐解いていきますね。

滑舌には、直ちに治した方が良いものと、そうでもないものがある。

まず、直ちに治した方が良い滑舌というのは、文字通り、人が聴いていて明らかに違和感がある滑舌である場合です。
但し、これもとても難しくて、声が良い、表現力が豊か。既に沢山の仕事をしている。何かが足りない。でも何が足りないかわからない。と言う方で、「あと、もうそれだけなのに」と言う理由で、イコール直ちに滑舌を・・・と言うパターンの方です。この方の場合は、滑舌が良くなれば、相当量全体がランクアップしていきます。(改善点がそこだけ、と言うパターンです)
私が先述した方の場合、すぐに滑舌を治した方が良いという方は、真逆で、滑舌が原因で「あなたのセリフが私に全く入って来ないんです」と言うパターンの場合です。これは、出来る事なら、事務所に所属する前、もっと言えば、養成所に入る前に叩いておきたい事案です。

滑舌だと思っていたのに、実は発声が原因だった。

実は、1つ目の誤解がこちらです。
これは、確かに滑舌も…なんだけど、その前に発声ですよね!と言う方が、相談に来られている方の7割、と言っても過言ではないのです。
滑舌を良くしようとして外郎売りを読む方がいます。それはとても良い方法ではありますが、外郎売りで滑舌が良くなる方は、根本的に悩む必要があまりないと考えてよいでしょう。

ただ勿論、外郎売から外れたら全然言えない、では困ってしまいますが・・・。
外郎売の練習からもわかる様に、滑舌のトレーニング=舌の動きを良くすること。と思われがちですが、もっとそれより大切なのが発声です。
特に養成所生の方の場合、滑舌のテストが初めにあります。勿論、それがキチンと言えることが前提ではありますが、底だけにとらわれていると、演技上で声の使い分けや、表現力を求められたときに

初めて、「え?」となってしまいます。
ここで演技をするときに、その状態ですと、まず「声を作り分ける」ことを途端にやろうとします。
アフレコの場合、確かに目の前にいる絵に向けて声を「充てる」から「アテレコ」ですが、それでは対象物との会話になりません。
外国語映画は特に、相手(生身の人間)との会話です。

目の前にいる対象物【人】に声を向けた場合、本来かけるべき相手に声はかからないのです。ここをキャッチするためには、早いうちから自分と言う体幹(軸)をしっかりする必要があります。
私の生徒さんでも、役者さんから、声優さんになられた方がいますが、元々基礎が出来ている方はそこに抵抗感がありません。

実際、サ行が滑る、重複母音が言えない。という様な悩みであっても、体の軸と、声帯のありかが(ボディマップ)が良くわかっていない、と言う方が多く見受けられます。

ここは切っても切れない場所なのです。

2つ目の誤解は、初めからそんなに滑舌を完璧にする必要はないという事

ある種矛盾してしまうかもしれませんが、滑舌を完璧にする。1ミリも滑らず、コンスタントに文字のリズムを刻む。。。そこだけをやればよい。と言う誤解です。
表現を行う上で、モノの単語の音にも「温度」があるように、こういう音が聴きたい。と言う人々の欲求カーソルに、音が上手くはめられればOKなのです。
それを、単純な運動作業の完璧さだけを求めていくと、本来やりたかった演技や、やるべき演技から外れていきます。
この人々の欲求カーソル。と言う軸をご自分に上手く当てはめられれば、最小限の滑舌の完璧度でも良いと思っています。

これはナレーションのフレージングでも同じことが言えます。

是非、これを機に、ご自身の滑舌ライフ?を見直してみてください。

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