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もくじ

ナレーションのトレンドを読み取って、原稿に変換する。

実は先日、ここ1年ぐらいレッスンに通ってこられていた生徒さんが、1年前のボイスサンプルと比較して、同じ原稿で「今の状態」をサンプルとして送ってくださいました。

本当に驚くほどの変容で、私自身びっくりでした。

当然、感想として「どういった点がとても変わっていたのか」という事をシェアさせていただきました。

その時に、補足の説明として私が書いたのが、

今の現状、ナレーション市場では、「音楽で言う所の宇多田ヒカルさんの出現した当時と同じくらいの変容が起こっている」というものでした。

これは、私がボイストレーナーとして活動をし始めてからもうすぐで20年になるという中で感じた「音楽の変容」とすごく重なる部分があります。

宇多田ヒカルさんが出て来たのと同じくして、人々はCDから、媒体(CDやMDなどのユニット)を持ち歩かなくなりました。いずれアイポッドから、携帯で音楽が聴けるように変容していくのですが、

実は、人々がCDを聴かなくなっていくのと同時に、「WAVからMP3」という変容が同時に成され、さらに、好まれる音楽にも変容が出てきます。

良く、TKさんが「僕の音楽は、宇多田ヒカルさんの出現とともに終わりを迎えた」と言っているのですが、スライド図式的には、TKさん→アクターズスクール系→ユーロビート(この辺りはほぼ重なってる)からの宇多田さんサウンド

という流れがあったと感じています。しかし、2000年前後(宇多田さんの出現)でやはり大きく変わっていっていますね。

実は、この頃の大きな変化の中に、「日本人が求める歌の歌い方の変化」というものも関わっています。ボイストレーニングという言葉が注目されたのも実はこの頃で、業界はこぞって「ミックスボイス歌唱」のブームでした。

日本人が、日本語の歌をかっこよく歌う、という流れから、洋楽や、洋楽のイメージから派生されて出来た曲を、いかに地声で歌うか。みたいな・・・。

そこで、聴かれる音楽も、「がっつりパンチの聴いた声」というよりも、「周りの音が遮断されない程度に軽やかで心地良い声」に移行していきました。

まさに、ナレーション市場でもミックスボイス的な要素を求められている。

最近私の生徒さんでも、声優さんで「本格的にナレーションを勉強したい」と言う方が増えています。

ちなみに、声優さんとしてお仕事が沢山取れる方というのは、「この読みで他の人と勝負しても勝てないので、別で行きたい」と言うような、明確な展望を持っている方が多いのです。

これは恐らく、声優さんとしてのオーディションでも似たようなことが起こっており、ご自身が「自分はこっちの役なら取れるな」という査定がきちんとできていることが言えます。

私が原稿を作成する時は、全くそれと同じ目線で作り始めます。

私の原稿には、モデルがいます。モデルと言うのは、「声のサンプリングだったり、ある生徒さんが実際にお仕事で取り組まれた物」だったりします。

ですが、モデルから抽出する要素は、個人情報に触れない部分です。実際にお仕事で使用した文言や、社名、媒体、例えば「スポーツ飲料のCM」だったらい、「飲料のCM」という所だけ抽出し、中身は全く違うものにするのです。

そのようにして、原稿を作成します。

次に原稿作成で大事にしているのは、「音」です。その生徒さんの声で、「どんな言葉の音を聴いてみたいか。」なんかグラビアの撮影のようなものですが、

この方の、このアングルで写真を撮ってみたい。というのともちょっと近いです。

それを音で表現します。一番わかりやすいのは擬音です。「さらさら」なのか、「スパっと」なのか、「しゅっ」なのか、「するるるる」なのか。

そういった擬音を実際に使う事もありますが、逆にその聴きたい擬音から派生する意味のある言葉を充てることも多いです。例えば、「さらさら」だったら、「線がまっすぐに伸びて、それぞれが複雑に行き交う、川の水面」とか、

「スパっと」であれば、「テニスラケットにボールが弾む、その瞬間」とかですね(笑)

曲を作る時とすごく似ています。曲を作る時は、その方の声で「このメロディーを聴いてみたい。」私の場合は、もう本当それだけなのです。

だからこそ自分の曲になるとまったくアイディアが浮かびません。。。。

そして、こんな風に作った原稿で時折生徒さんがボイスサンプルを作ってくださいます。

それを実際に事務所にアップして、お仕事が取れた事例はいくつもあります。

ということは、やはり市場(クライエント)さん的にも、「この原稿は、この方の声で聴いてみたい」というイメージとマッチしている。という事ではないでしょうか?

とにかく、今ナレーション業界にもすごく変容がおきています。

一番の変容は、「文章の意味として、ここを修飾するというような基本技術は当然の物として、それ以上に上手い下手ではなく、イメージがマッチングしているか」と言う所がもっとも重要な部分である。

という意味で、商品、クライエントさん、エンドユーザーさんに以下に「寄り添えるか」を見られている気がします。

 

 

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